庭の木に突然、白っぽい毛虫が大量発生していませんか?
「葉っぱがどんどん食べられている」
「枝に白いクモの巣のようなものがある」
「毛虫が木から降りて庭を歩き回っている」
このような場合、アメリカシロヒトリ(通称:アメシロ)の可能性があります。
アメリカシロヒトリは北米原産の外来種で、日本では本州の広い範囲のほか、四国・九州の一部などでも確認されています。非常に多くの植物を食害する広食性の昆虫で、国立環境研究所の侵入生物データベースでは600種にも及ぶ樹種を加害するとされています。
このページでは、
など、アメリカシロヒトリの防除について知っておきたい情報を詳しく解説します。
アメリカシロヒトリとは?🐛
アメリカシロヒトリ(学名:Hyphantria cunea)は、チョウ目ヒトリガ科に属する昆虫です。
名前に「ヒトリ」と入っていますが、問題になるのは主に毛虫の姿をした幼虫です。
北米原産の外来種で、日本には第二次世界大戦後に侵入したとされ、その後各地へ分布を拡大しました。
幼虫には大きな特徴があります。
ふ化したばかりの幼虫はバラバラに生活するのではなく、枝葉に白い糸を張って「巣網」を作り、その中で集団生活をします。
この時期には葉の葉肉を食べるため、
「葉脈だけが残って葉が透けて見える」
という特徴的な状態になります。
この「巣網の中に集まっている時期」が、アメリカシロヒトリ防除では非常に重要です。
アメリカシロヒトリは
いつ発生する?
地域やその年の気象条件によって差がありますが、日本では基本的に年2回発生する地域が多いとされています。
塩尻市では、6月頃・8月頃
の年2回発生すると案内しています。
一方、函館市では成虫が5~6月と7~8月、幼虫が5~7月と8~9月に出現するとしています。地域によっては一部で年3回発生する場合もあります。
そのため全国的には、
1回目:5~7月頃
2回目:8~9月頃
を特に注意する時期と考えておくとよいでしょう。
ただし、発生時期は地域・標高・その年の気温などによって変動します。
アメリカシロヒトリは
冬になるといなくなる?
幼虫のまま冬を越すわけではありません。
アメリカシロヒトリは基本的に蛹(さなぎ)の状態で越冬します。
函館市によると、樹幹の割れ目や樹皮の下などで蛹化して越冬し、翌年に成虫となります。
つまり、
「寒くなって毛虫がいなくなった=完全にいなくなった」
とは限りません。
翌年になると再び成虫が現れ、葉の裏側などへ産卵します。
アメリカシロヒトリが
好む木は?🌳
アメリカシロヒトリは非常に食性の幅が広い昆虫です。
国立環境研究所では、600種にも及ぶ樹種を加害する広食性の昆虫としています。
特に自治体などで発生例として挙げられているのが、
サクラ・カキ・クワ・ウメ・ハナミズキ・クルミ・プラタナス・トウカエデ・ミズキ・ポプラ
などの落葉樹です。
島根県の病害虫情報では、放任されたクワや街路樹のサクラなどで多発し、果樹ではカキの被害が大きいとしています。
したがって、
「うちの木は柿じゃないから大丈夫」
とは考えない方がよいでしょう。
非常に多くの樹種を食害する可能性があります。
アメリカシロヒトリを
放置するとどうなる?⚠️
最も大きな問題は、幼虫が成長すると巣から出て分散することです。
発生初期の幼虫は巣網の中にまとまっています。
しかし成長すると巣から出て、
木全体 → 周辺の樹木
へと移動していきます。
糸魚川市も、幼虫が発生した樹木だけにとどまらず周辺の樹木へ移動し、被害が拡大する可能性があると注意喚起しています。
大量発生した場合には、樹木が丸裸になるほど葉を食べられることもあります。
さらに分散した幼虫は樹木だけではなく、
地面・住宅の壁・塀・洗濯物など
へ移動することがあります。
そのため、樹木への食害だけでなく、住宅地では不快害虫として近隣トラブルにつながるケースもあります。
アメリカシロヒトリに
毒はある?人を刺す?
よくいただく質問ですが、アメリカシロヒトリは毒針毛を持つ毛虫ではありません。
複数の自治体も、アメリカシロヒトリには毒性がない、または毒針毛を持たないと案内しています。
つまり、チャドクガなどのように毒針毛によって皮膚炎を起こすタイプの毛虫とは異なります。
ただし、
「毒がない=誰が触っても絶対に症状が出ない」
という意味ではありません。
守谷市や白山市などは、毒針毛はないものの、体質によってはアレルギー反応やかゆみが生じる可能性があるとしています。
また、見た目だけで他の毛虫と確実に区別できない場合もあります。
そのため、素手で積極的に触る必要はありません。
アメリカシロヒトリを見つけたら
最初に確認すること🔍
まず確認したいのが、
「幼虫がまだ巣網の中に集まっているか?」です。
ここが非常に重要です。
アメリカシロヒトリの防除は、大きく
① 分散前
② 分散後
で方法が変わります。
【分散前】自分でアメリカ
シロヒトリを駆除する方法
発生初期で幼虫が白い巣網の中に集団でいる場合は、枝葉ごと取り除く方法が非常に有効です。
白山市、糸魚川市、函館市など複数の自治体がこの方法を推奨しています。
基本的な方法
- 白い巣網を探す
- 幼虫が集まっていることを確認する
- 高枝切りバサミなどで巣網のある枝葉を切り取る
- 幼虫が逃げないよう袋へ入れる
- 確実に捕殺する
- 自治体のごみ出しルールに従って処分する
ポイントは、
「幼虫がバラバラになる前に駆除する」
ことです。
巣の中に数十~数百匹の幼虫がまとまっている段階なら、一つの枝を処理するだけで多数の幼虫を一度に除去できます。
薬剤の使用量を減らすという意味でも、早期発見・早期捕殺が重要です。
【分散後】木全体に広がったら
どうする?
発見が遅れると、幼虫は巣網から出て木全体へ分散します。
こうなると、
枝を1本切るだけでは駆除できません。
函館市などでは、分散してしまった場合には適用のある薬剤による防除を案内しています。
ただし、ここで注意してほしいのが、
「アメシロなら何の殺虫剤でもいい」
わけではないことです。
アメリカシロヒトリを自分で薬剤散布する場合の注意点
農薬を使用する場合は、現在登録されている農薬の中から、対象となる樹木・害虫・使用方法に適合する製品を選ぶ必要があります。
農薬の登録内容は変更される場合があります。
そのため、インターネットの記事だけを見て薬剤名を決めるのではなく、
製品ラベルと農林水産省「農薬登録情報提供システム」の最新情報
を必ず確認してください。
農林水産省 農薬登録情報提供システム
また薬剤散布では、
人・ペット・近隣住宅・自動車・洗濯物・作物などへの飛散
にも注意が必要です。
風が強い日に散布するなど、周囲へ薬剤が飛散する可能性が高い状況では無理に作業しないことが重要です。
アメリカシロヒトリを
見つけるポイント👀

早期発見するためには、発生シーズンに庭木を定期的に確認します。
特に探したいのが、
写真のような白いクモの巣のような「巣網」です。
さらに、葉が白っぽく透けて見える
場所も重要なサインです。
若い幼虫は葉肉を食べ、葉脈を残すため、この独特な食害痕が発生場所を見つける手掛かりになります。
特に5~7月、8~9月頃は、
サクラ・カキ・クワ・ウメなどの葉や枝先
を定期的にチェックすると早期発見につながります。
毎年同じ木にアメリカシロヒトリが出るのはなぜ?
アメリカシロヒトリは蛹で越冬します。
さらに非常に多くの樹種を食害するため、自宅の庭だけを確認すれば完全に防げるとは限りません。
周辺の街路樹、空き家、庭木などで発生した幼虫が広がる場合もあります。
そのため防除で重要なのは、
発生シーズンに木を定期的に観察し、巣網を見つけた段階で処理することです。
市町村によっては、被害拡大防止のために、地域ぐるみの共同防除に取り組む自治体もあります。
木が大きい場合は無理に
自分で駆除しない
2~3m程度の木で、地上から安全に巣網を切り取れるのであれば、ご自身で対応できるケースもあります。
一方、5m・6m以上の庭木になると話が変わります。
高い位置の枝まで薬剤を届ける必要があり、脚立やハシゴを使いながら、
高所作業+薬剤散布を同時に行うことになります。
転落事故や薬剤飛散の危険があるため、
地上から安全に作業できない高さの場合は、無理に自分で作業しないことをおすすめします。
アメリカシロヒトリ駆除を
業者へ相談した方がよいケース
次のような状況では専門業者への相談を検討してください。
- 木が高く、自分では上部まで届かない
- すでに木全体へ幼虫が分散している
- 複数の庭木へ被害が広がっている
- 毛虫が大量発生している
- 住宅や隣家との距離が近く薬剤散布が難しい
- 空き家などで長期間放置されている
- 自分で毛虫を処理することに抵抗がある
自治体でも、自分で駆除できない場合には専門業者への依頼を案内しているところがあります。
よくある質問|
アメリカシロヒトリQ&A
Q. アメリカシロヒトリは毒がありますか?
一般に毒針毛を持つ毛虫ではなく、毒性はないとされています。
ただし、体質によってアレルギー反応やかゆみが生じる可能性があるため、積極的に素手で触ることはおすすめしません。
Q. アメリカシロヒトリは木を枯らしますか?
大量発生すると木が丸裸になるほど葉を食べることがあります。
ただし「アメシロが発生すれば必ず木が枯れる」とまではいえません。樹種や木の状態、食害の程度などによって影響は異なります。
Q. 一番駆除しやすいタイミングは?
幼虫が巣網の中で集団生活している発生初期です。
枝葉ごと取り除くことで、一度に多数の幼虫を捕殺できます。
Q. アメリカシロヒトリは何月に発生しますか?
地域差がありますが、全国的には5~7月頃と8~9月頃が主な発生時期です。一部地域では年3回発生する場合があります。
Q. 柿の木に発生しやすいですか?
はい。柿はアメリカシロヒトリによる食害が確認されている代表的な樹木の一つで、島根県は果樹ではカキの被害が大きいとしています。
Q. 桜にも発生しますか?
はい。サクラも代表的な加害樹種として多くの公的機関が挙げています。
Q. 市役所に連絡すれば駆除してもらえますか?
自治体によって対応は異なりますが、私有地については所有者自身での対応や専門業者への依頼としている自治体が多くあります。
公共施設や街路樹などで発見した場合は、その土地・樹木の管理者へ連絡してください。
アメリカシロヒトリ防除で
最も大切なのは「早期発見」
アメリカシロヒトリは、
卵 → 集団生活する幼虫 → 分散した幼虫 → 蛹 → 成虫
と成長します。
防除しやすいのは、幼虫がまだ巣網の中に集まっている時期です。
この時期なら、巣網のある枝葉を切り取ることで、薬剤に頼らず大量の幼虫を一度に除去できます。
逆に放置して幼虫が木全体へ分散すると、駆除範囲が一気に広がります。
そのため、「大量発生してから駆除する」より「巣網の段階で見つける」
ことが、アメリカシロヒトリ防除の大きなポイントです。
全国のアメリカシロヒトリで
お困りの方へ
アメリカシロヒトリは特定の地域だけの問題ではありません。
国立環境研究所によれば、日本では本州の広域、四国・九州の一部、小笠原で分布が確認されています。
まずは庭木を確認して、
白い巣網がある → 分散する前に枝葉ごと除去
すでに木全体へ分散 → 適用のある薬剤による防除を検討
高木・大量発生・安全に作業できない → 専門業者へ相談
という判断が基本になります。
アメリカシロヒトリは、早く発見するほど対処しやすい害虫です。
毎年発生する地域では、春から秋にかけてサクラ・カキ・クワ・ウメなどの庭木を定期的に確認しましょう。







